ウミガメの生態とその一生を学ぼう。ダイビングだとどこで会える?
ウミガメは、海で出会える生物の一種です。
愛らしく温厚で、一緒に泳いでくれることもあるウミガメは、ダイバーに限らず多くの方から人気を集めています。
そんなウミガメは、どのような生態をしており、どこで会えるのでしょうか。
ここでは、ウミガメの生態と、出会えるダイビングスポットについてご紹介します。
●ウミガメとは?特徴と生態
ウミガメは、主に亜熱帯や熱帯など、温かい海に生息する爬虫類です。
種類にもよりますが、海藻やクラゲ、魚類や甲殻類などを食べて過ごしています。
肺呼吸なのでずっと海中にいることはなく、時折浮上して呼吸をするのが特徴です。
白亜紀やジュラ紀のような時代には、その祖先がいたとされています。
●ウミガメとリクガメとの違い
ウミガメは、陸で暮らすリクガメが、住処拡大のために海に適応した姿だといわれています。
陸を歩くためのどっしりとした足は、水をかくための平たいヒレに進化しており、前のヒレは特に大きいです。
また、リクガメと違って首を引っ込められず、水圧に応じて変化する甲羅を持っていることもあります。
●ウミガメの寿命
種類にもよりますが、長い寿命を持っています。
100年、あるいは200年もの間生きるウミガメもいて、日本では長寿の象徴となっています。
ただ、ウミガメを取り巻く環境は過酷で、必ずしも寿命を全うできるわけではありません。
現在では数を減らし、全ての種類が絶滅の危機に陥っています。
●ウミガメの種類
ウミガメはウミガメ科が6種類と、オサガメ科が1種の、合計7種類です。
それぞれどのような特徴があるか見てみましょう。
●アカウミガメ
アカウミガメは、全体が赤色か赤茶色のウミガメです。
頭が大きいのも特徴で、英名の「loggerhead turtle」は、「頭が大きなカメ」という意味合いになります。
日本でも見られるウミガメの一種で、繁殖期になると北太平洋に生息するアカウミガメが、九州付近を中心にやってきます。
ただ、基本的には沖合で過ごしているため、繁殖期でもないとなかなか見ることはできないでしょう。
●アオウミガメ
アオウミガメは、つるりとした甲羅と、小さな頭が可愛らしいウミガメです。
インド洋や太平洋など広い範囲に生息しており、植物を主な食料とするため、比較的浅い場所で暮らしています。
小笠原諸島や南西諸島でも産卵に訪れるため、日本でもダイビングで出会う機会が多いのが特徴といえるでしょう。
食用として乱獲されたため、数を減らしているといわれるウミガメの一種です。
●タイマイ
タイマイは、クチバシのようにとがった口が特徴的なウミガメです。
サンゴ礁で細かな餌を探すために発達した口は、横から見ると鷹のようにも見えます。
名付けられた英名も、鷹のクチバシを意味する「hawksbill」です。
美しい甲羅がべっ甲細工に用いられていたため、乱獲された歴史を持ちます。
日本でも見かけることが多い種類のウミガメです。
●ヒメウミガメ
ヒメウミガメは、中でも最も小さいサイズのウミガメです。
似た外見を持ったアカウミガメと混同されていた時期があり、ヒメウミガメをアカウミガメ、アカウミガメをオオアカウミガメと呼ぶこともあったといいます。
主に熱帯に生息していますが、日本でも稀に見かけることがあります。
同じヒメウミガメ属に、ケンプヒメウミガメがおり、ケンプヒメウミガメを加えて8種類とすることもあるようです。
●オサガメ
オサガメは、2mや3mといった巨大な体を持ったウミガメです。
そのサイズに見合ったパワフルさを持っており、食事のために何千kmという距離を泳ぎます。
水深1200mに潜水可能、無呼吸で30分以上潜れる、硬い甲羅ではなく弾力のある厚い皮膚に覆われているなど、他のウミガメにない特徴を持っています。
●クロウミガメ
クロウミガメは、アオウミガメとほぼ同種といわれるウミガメです。
遺伝子的にも似ており、お腹側が黒色または灰色で、甲羅の後ろ側がしゅっと細くなっていること以外は、ほとんど違いがありません。
ガラパゴス諸島やハワイ周辺など東太平洋側に住んでおり、日本ではあまり見られませんが、西表島付近で確認されたという記録があります。
●ヒラタウミガメ
ヒラタウミガメは、名前の通り平たい甲羅が特徴のウミガメです。
平たく、縁が反り返った形状は、どこか陣笠に似ています。
オーストラリア北部、それも沿岸にのみ生息しているため、日本ではめったに会うことはありません。
●ウミガメの一生
●産卵のために砂浜へ
ウミガメは普段、沿岸や沖合で暮らしていますが、産卵の時期になるとメスが砂浜へとやってきます。
生息地域で変化しますが、日本周辺のアカウミガメなら5~8月、アオウミガメなら5~9月あたりです。
産卵期は2~4年といった間隔で訪れ、2~3週間おきに何度か産卵を行います。
一度の産卵で100個近い卵を産むため、合計で数百もの卵が砂浜に埋められることになります。
なお、ウミガメは産卵時に涙を流すことが知られていますが、産卵時の痛みから流しているわけではありません。
海で暮らすウミガメの目には、「塩類腺」と呼ばれる塩分濃度を調整するための涙腺があります。
塩分濃度が高い海水で水分補給するウミガメは、海中ではもちろん、陸上に上がって産卵中であっても、塩類腺から涙を流す必要があるのです。
●子ガメが孵化
母親が産卵した卵は、砂浜で砂をかけられて外敵から隠されたのち、通常なら2ヶ月ほどで孵化の時を迎えます。
しかし、その際の温度が24~32度の適温からずれてしまうと、孵化せず死んでしまうことがほとんどです。
また、29度が性別を決める境になっており、29度以上だとメスに、29度未満ではオスになります。
そのため、ウミガメにとっては温度が大切だといえるでしょう。
●外洋を目指してひたすら泳ぐ
孵化に成功した子ガメたちは、すぐには外に出てきません。
日中は外敵に見つかる危険性が高いため、暗い砂の中でじっと待ちます。
そして砂の温度が下がって夜になったことを察知したら、一斉に飛び出て一心不乱に外洋を目指すのです。
その際は、本能的に自分を興奮させる「フレンジー」という状態になり、浜辺から海に辿り着いても、24~48時間は泳ぎ続けます。
浜辺にはカモメやカラスなどの鳥が待ち構えており、浅瀬にも大きな魚がいます。
外敵に襲われて死んでしまいやすいこの時期は、外洋に出なければ安全がないためです。
一度の産卵で100個もの卵を産むのに、絶滅の危機を迎えているのは、こういった外敵からの狙われやすさも関係しています。
生き延びて成長したウミガメは、種類によって外洋に留まりますが、沿岸や浅瀬に住処を移す種類もいます。
●ダイビングなら水中でウミガメと一緒に写真が撮れる
日本の一部でも、ウミガメを見ることができます。
見られるのは主にアカウミガメとアオウミガメ、タイマイの3種類で、稀に付近を泳ぐヒメウミガメが見られることもあるようです。
有名なダイビングスポットは、下記の三つです。
沖縄県の慶良間諸島:アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイ
鹿児島県の奄美大島・屋久島:アカウミガメ、アオウミガメ
東京都の伊豆諸島・小笠原諸島:アカウミガメ、アオウミガメ
沖縄県は、3種類のウミガメを見られる可能性があるため、特に人気のダイビングスポットです。
宮古島や石垣島、西表島などでも見られるため、慶良間諸島以外を候補に挙げる方も多いでしょう。
ダイビングなら、普段は見られないウミガメを眺めるだけでなく、時には一緒に泳ぐこともできます。
ウミガメがどのように泳いでいるのか、何を食べているのか、直に見ることでより詳しく生態を知れるかもしれません。
●まとめ
ウミガメの生態と、出会えるダイビングスポットについてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
オーシャンステージでは、定期的にダイビングツアーを行っています。
慶良間諸島や多良間諸島などに向かう、ウミガメに出会えるツアーも多数ご用意しています。
ダイビング未経験の方でも、初級や中級コースで資格を取れば、問題はありません。
ウミガメとダイビングで出会いたい方は、ぜひオーシャンステージのダイビングライセンス資格取得コースにお申し込みください。